「クロノと麻雀」(クロノ&女性勢)
この作品は麻雀要素が強いので麻雀に知識がない人は回れ右でOKだと思います。
ある夜、クロノは溜まっていた仕事を終えて自宅に帰ってきた。時刻は深夜にも近い時間でエイミィは寝ている時間だと思いながら家に入るとそこには思わぬ客人がいた。
「あ、クロ助おかえり~」
「おかえり クロノ」
フェイトとエイミィは起きていてリビングの電気は付いていた。そして客人が数名・・・
「お疲れ様 クロノ君」
「お邪魔してるで」
なのはとはやてだった。4人は正方形のテーブルを囲んで座っていた。
「こんなに時間に何をしてるんだ?」
「夜会だよ 最近、クロノ君が帰ってこないってエイミィさんが寂しがってたからね」
「そうなのか? 悪いなエイミィ」
「あんたの仕事が忙しいのは分かってるんだから気にすんじゃないよ!」
エイミィはノリ良くクロノに絡んできた。エイミィの口からは酒のにおいがする。
「子供は寝かしたのか?」
「ヴィータちゃんが一緒に寝てくれてるから大丈夫よ~」
「ヴィータが? ということは・・・」
「私もいるぞ クロノ艦長」
「もちろん私もね♪」
台所から顔を出してきたのはシグナムとシャマルだった。随分と大人数でやっているようだ。
「とりあえず僕は着替えてくるよ みんなも楽しんでいてくれ」
「私らは元よりそのつもりやで~」
自室に戻るとクロノは脱力してベッドに倒れこんだ。
「ああ 眠い・・・」
ここ2、3日は仕事が溜まっていてろくに寝ていなかったのだ。エイミィを寂しがらせていたのは申し訳ないとは思うが自分の仕事の多さも苛まれない。起き上がったクロノは私服に着替えるとまたベッドに倒れこんだ。
「お兄ちゃん 起きて!」
その半時程後、クロノはフェイトに起こされていた。
「ん・・・ フェイトか 僕は寝たいのだが」
「お兄ちゃんが来てくれないと私、はやて達に罰ゲームされちゃう・・・」
「フェイト なんで僕をお兄ちゃんと呼ぶのだ?」
眠い目を擦りながらリビングに行くと夜会はまだ続いていた。
「クロノ君寝ちゃってたの? ダメだよ~夜はまだ長いんだから」
「せやせや 男なら付き合え~」
なのはとはやては相変わらず正方形のテーブルを囲んでいた。クロノはさっきは眠気から気づかなかったがそれは麻雀卓だった。
「君達は一体、何をしているんだ?」
「この世界の古代知能競技の一つで麻雀というものです」
シグナムが答えた。クロノははやての昔からの趣味みたいなものだから知ってはいる。何しろ時空管理局に麻雀を持ち込んでしばらくは上層部の間で入門書がベストセラーになったのははやての行いなのだから・・・ しかし、何故この家に麻雀卓があるのだろうか?
「旅人の窓を使ってこっちに移したんですよ 便利ですよね~」
発してもいない疑問にシャマルは答えた。魔法を無駄なところで使っているものだ。
「んで、僕に何をさせたいんだい?」
「一緒に麻雀をやらん?っていうお誘いや ルールは頭に入ってるやろ?」
「知らない事はないが僕とやってどうするんだ?」
「女の子同士でやってても退屈してたところなんよ 結構見飽きてるしな」
エイミィとなのはに強引に席に座らせられたクロノははやて、なのは、フェイトの3人と卓を囲む事になった。
「クロノ君は始めただからわからんやろうけど 私達はいつも何かしらの罰ゲーム付きでやってるんよ」
「今日は東風戦で最下位の人が一枚ずつ脱いでいくっていうルールでやってるんだよ」
はやてとなのはは悪戯っぽい笑みを浮かべてクロノにルールを告げた。その瞬間にクロノの顔は真っ青になった。
「冗談じゃない 僕は男でそれ相応の年齢だぞ そんなことできるわけ・・・」
「大丈夫だよクロノ 全裸になるまでやるわけじゃないから」
場の空気がおかしかった。何故、入ったときに気づけなかったのだろうとクロノは思った。
「シャマル~ 焼酎一本追加や!」
「私とフェイトちゃんにはウィスキーを もちろん原酒でね~」
「はいは~い 今、もって来るわよ~」
シャマルとシグナムは台所に入っていって酒瓶を数本出してきた。
「クロノ君は何を飲む? 酒は一杯買ってきてあるんよ」
「僕は水で大丈夫だ 酒を飲む気じゃ・・・「クロノ君には日本酒な~」・・・って人の話を聞け!」
こうしてクロノの横のサイドテーブルには日本酒の瓶が運ばれてきた。
「えっと・・・ コップはないのか?」
「大丈夫だよ こうやって飲めば洗い物増えないし・・・」
「なのは なんで君はウィスキーをそのままラッパ飲みしてるんだ!?」
「別にこれくらい大丈夫だよ? ねぇフェイトちゃん」
「うん まだまだ素面だし」
なのは達は顔色は普通だったが行動から見るにあきらかに酔っているようだ。フェイトが眠っているクロノをむりやり起こしたのも酔っていたからこそだろう。
「とりあえず 一局やろか? 始めるで~」
はやての一言で始まった東一局はなのはの親で始まった。
「私の親番だ~ ドラ全然無いわ~」
「なら私のところに集まってるようだね」
「私は刻子が一杯やわ」
他家は何故か自分の手を報告し合っている。本当とは限らないため鵜呑みにはできない。
「あっ聴牌だ。立直」
何順かした後フェイトが最初の立直をかけた。
「うわぁ フェイトちゃん立直かけるとかありえんわぁ」
「一発・・・自摸 1300」
はやてが手牌を倒すとそれは・・・
「なっ四暗刻!? 君はいつのまにそんなものを!」
「といってもまだ一向聴なんやけどね」
はやてがさっき呟いていたのはあながち嘘ではないらしい。
「私の親番流されちゃったよ」
「次は私が親番だね 負けないよ」
「頑張りや~ あっ次はワイン追加してな」
「わかりました~」
はやてはシャマルにワインを頼むと次の局を始めた。
「(いまいち手がのらないな・・・ さっぱり聴牌に近づけん)」
「(一向聴か もう少しなんだけどな~)」
「槓!」
5.6順した頃、はやてが突然槓の宣言をした。槓した牌を脇に寄せると嶺上牌を取った。
「自摸や 3900」
「・・・嶺上開花か? 随分とまた珍しい役だな」
「なんでか嶺上牌乗るんよね~」
「それはうらやましいな」
現在の状態では一位ははやてで以下、フェイト、クロノ、なのはの順になっているが別にたいした点差ではない。
「これで半分やね あと2局やで シャマル~ビールの大きい奴回して~」
「私もウィスキー無くなったから他のくださ~い」
「僕にもみ・・・「クロノ君はもっと強いお酒をご所望やで~」って人の話を捏造するな」
「今持ってくわよ~」
水分補給(?)を終わらした面々はまた麻雀に興じた。
この後の結果から言うとはやての一人勝ちであった。3局目をまた嶺上開花で和了ると4局目はクロノに直撃で2900をぶつけて東風戦は終了した。そして最下位はもちろんクロノであった。
「一回目やからそのTシャツでええよ~」
「早く脱いじゃいなyou~ 手がすっべっちゃうよ」
「クロノ・・・ 男らしくね」
「僕には女性の前で服を脱ぐ習慣があまりないのだが・・・」
「あら~ 私の前では脱いでたじゃないの 子供作るときだってそうじゃな~い」
「君は妻なんだからあたりまえだろう! 何を言い出すんだ」
「やっぱクロノ君はエロエロやね~ 真っ先に処女を脱出するなんて」
「僕の場合は処女ではなかったと思うのだが」
「ぶつくさうっさいわ~ 早くせんかい」
クロノはとりあえずTシャツの上を脱いだ。もちろん下に下着を着ている。
「じゃあ僕はそろそろ寝るよ もう疲れているんだ分かってくれ」
クロノが眠そうに腰を上げるとエイミィが電話をかけ終えたところだった。
「エイミィ 誰に電話をしていたんだ?」
「クロノが疲れているようだしお義母さんに有給取るって連絡したのよ 『夫婦の営みしたい(はぁと)』って言ったら二つ返事でOKくれたよっ?」
「そういう問題じゃない! ていうか夫婦の営みってなんてことを言ってるんだ!」
「子孫を残すためにも必要なのよ あなただってハラオウンの血筋が途絶えるのはいやでしょう?」
「だからそういう問題じゃないと言ってるだろうが・・・」
クロノはもう諦めの状態だ。エイミィは機嫌良さそうにラム酒を口にする。
「さっさと終わらせて寝たいな 早く始めよう」
「あら~ クロノくんが自らやりたがってようやね どう思います皆さん?」
「クロノったらどうしても脱ぎたいのかな?」
「やっぱり夫婦の営みのため?」
「誤解だ フェイト、なのは僕はそんな事するために始めるわけじゃないぞ!」
釈明を叫ぶクロノを残してまた次の局が始まった。
「・・・何というか暇だな 私達は」
「はやてちゃん達が楽しそうなんだからいいじゃない それよりこっちのハイボールもなかなかよ」
「頂こうか エイミィ殿はどうです?」
「私も頂くよっ やっぱ酒飲むなら夫が居て欲しいものね~」
「その旦那さんは完全におもちゃ扱いですけどね」
「いいじゃん楽しそうだし(なのは達が)」
クロノたちの後ろでは楽しそうに酌を交わす者もいた。
「(さて・・・ どうしようか)」
「今度は筒子ばっかやな~」
「私は白が一杯だよ!」
「順子が多いかな・・・」
はやて達は相変わらず自分の手を明かしている。クロノはこれを利用しようとした。
「えっと 僕は索子が多いのかな(嘘)」
「クロノくんは索子かぁ~ ええなぁ」
はやての顔が一瞬曇ったかと思うとまた普通に戻った。なのはとフェイトは気づいていないようだ。
「・・・クロノ それロン 3900」
「なっ・・・」
フェイトは萬子と字牌の混一色でクロノをひっかけた。
「クロノを引っ掛けるつもりで作ったんだ」
「索子が多いって言ったのは特に気にしていなかったのか?」
「酔ってないクロノが容易く私達に手を明かしたりはしないでしょ?」
「あ 私もそれ思ったわ~」
「私も思ってたんだけどね~」
3人はクロノが発言した時点で怪しいと疑ってかかっていたようだ。クロノにははやてしか気にならなかったがなのはやフェイトも同じ事を考えていたのだろう。
「自摸 嶺上開花2300の責任払いや」
どこぞの県予選みたいなルールでクロノに2300のダメージだ。クロノの捨牌で槓したことによる大明槓責任払いのルールだ。役満直撃でなかっただけ感謝であろう。
「(はやての得意技が嶺上開花だということは有効なのは・・・)」
「ポン!」
そんなことを言っている間にはやてがポンをした。翻牌でもない牌だ。
「(確実にはやては加槓をする ならその前に待ちを変えることができれば・・・)」
幸いにもはやてがポンした牌を待ちとする聴牌を完成することができた。
「槓!」
はやてが威勢のいい声をあげて自摸った牌を槓し嶺上牌を取ろうとしたときに対面から声がした。
「ロンだ 槍槓ドラ3 12000だ」
「槍槓!? 図ったなクロノくん」
「偶然に頼ったがこれで僕のトップだな」
「嶺上開花に持ち込むことを見越して槍槓って!」
はやて達は驚愕したようにクロノを見た。点棒を受け取ったクロは次の局を促した。
「(流れがこっちに来たのか牌のまわりがいいな 高目を狙わないと・・・)」
「(このままじゃ私がビリやね・・・ 別に脱ぐのはいいけど(クロノが妻子持ちだから)負けっぱなしはややな)」
「(せっかくクロノが脱いでくれるチャンスなのにもったいない 頑張ってクロノを落とさなきゃ)」
「(はやてが脱ぐのはやっぱだめだよね・・・ なんとかしないと)」
女三人が改めてクロノへの対抗心を燃やすのを尻目にクロノは聴牌した。
「ふぅ・・・ 立直だ」
「おっ クロノくん初リーチやね~」
「でも ・・・それロンだよ」
クロノの顔から生気が消えた。なのはの声が地を這う怪物のように聞こえたからだ。
「クロノ君が一位になったらはやてが脱ぐ事になっちゃうよね? そんなこと許せるのかな?」
「うっ・・・ でもこれは勝負なんだぞ 僕だって脱ぐのはいやだ」
「そうやって女の子を脱がせてもいいのかな?」
なのはに白き悪魔が降臨した時、標的が生き残れる場合は皆無だ。
「な・・・のは・・・?」
「・・・クロノ君 私が倒すからね(笑顔)」
「今はその笑顔が一番怖い!」
「なのは その辺にしときや」
「ふにゃっ あれ?私・・・なんで?」
なのはは酔っているから特に自分が何をしていたか覚えていないようだ。
「正気になってくれて助かった・・・」
「別に私は脱いでもかまわんよ どうせまだ下着程度やし でもクロノくんに負けるわけないやろ」
「えっ なんのこと?」
「忘れてるんなら思い出す必要はないさ」
「思い出さなくていいよ なのは」
なのはは顔に疑問マークをたくさん浮かべながらまた麻雀に戻った。
「あっクロノ君のそれロンだ!」
「それは本当なのか!?」
「えっと立直一発ドラ4かな? 12000点なの」
「えっと・・・ これはつまり ・・・クロノ?」
「クロノくんの最下位やね いやぁ最後の最後でひっくり返ったなぁ~」
「また僕の負けなのか・・・」
なのはに12000点をもぎ取られたクロノは最下位となった。
「男の裸なんて見て何が楽しいのだか・・・」
「別にええやん 昔からの付き合いなんやし」
クロノは上の下着を脱ぐと上裸になった。格段に恥かしいことではないがクロノの顔には紅みがさしている。
「にしてもあなたも少したるんだんじゃないのかい?」
「うっうるさいな! これでも鍛錬を欠かしているわけではないんだぞ」
「二十の後半でもうおじさん腹かぁ?クロノくん」
エイミィやはやてがからかう程クロノの体がたるんでいるわけではないしむしろしまっている方だ。しかし、女性ばかりの空間に上裸の男がいるというのはなんとも怪しい光景だ。そんなところにシグナムがはやてのところにやってくる。
「主はやて クロノ提督にそのような格好はさすがに・・・」
「ん~ どうした?シグナム」
「ですから・・・ 酔いの勢いでも超えてはいけない線がありますよ。」
「・・・せやねぇ まぁ私たちもクロノくん脱がすのが目的やないしの~」
はやては思いの外素直にシグナムに応じた。クロノの顔が少し生気を戻した。
「じゃあ僕は服を着てもいいのか?」
「チョイ待ちや 折角何やし写真撮ろ~」
「・・・まぁ 写真ぐらいなら」
「カメラならあるよっ 早く撮ろうか!」
一同は記念写真を撮り終えるとクロノは服を着て、他のものはさらに呑むのを続けた。クロノはベランダで涼んでいるシグナムを見つけるとそっと近寄った。
「シグナム・・・」
「っ! クロノ提督? 何か用ですか」
「いや・・・ さっきはありがとうな 止めに入ってくれて」
「別に貴方に礼を頂くほどのことではないです。主の暴走を止めるのも私達の仕事の一部だ それに・・・」
「うん?」
「その・・・ 遊ばれている貴方はなんだか格好悪くて・・・」
シグナムはそれを言うとそっぽを向いてしまった。内面では恥かしがりなのかもしれない。
「とりあえず・・・ ありがとう」
クロノはそれだけ言うとまたリビングへ戻っていった。
「クロノさん いままでどこに?」
「シャマルか まぁ夜涼みって奴だ」
「ふふ 見てください みなさん寝ちゃってます」
シャマルが微笑んでいる方を見るとはやて達がソファで寝ているのが見えた。
「呑みまくってたからな このままじゃ風邪ひくし毛布でも出してくるか」
「クロノさんはいい旦那さんですね♪」
「からかわないでくれ」
クロノとシャマルが寝室に入るとザフィーラが起きていた。
「シャマルにハラオウンか・・・」
「ザフィーラも来ていたのか」
「随分とにぎやかにやってたみたいだな」
「まぁな・・・」
ザフィーラも手伝って毛布を女性陣にかけるとシグナムもベランダから戻ってきた。
「はやて達は寝てしまったのか?」
「そのようだな」
「さて、私たちはどうしようか・・・」
「客用の布団があるからそこで寝るといい 子供たちの横ではだめか?」
「ではお言葉に甘えましょうか シグナム」
「うむ そうさせてもらおう」
シャマルとシグナムが寝室に入ってくのを見届けたクロノは台所で酒瓶などの片づけや明日の準備をした。
「結局どんだけ買ってきているのだか・・・」
「ハラオウン 俺も手伝おう」
クロノが振り返ると人間体のザフィーラがいた。
「ザフィーラ 済まないな」
「こちらこそ 主たちが迷惑をかけた」
朝食の下ごしらえや酒瓶をまとめたりしながらクロノはザフィーラは夜のことを話した。このところザフィーラはクロノのよき理解者であってくれる。どちらも苦労しているのである。
結局クロノとザフィーラが寝床に入れたのは深夜というよりは明け方に近いような時間であった。
「今日は休みなのか・・・ エイミィめ余計なことを」
「お前のその状態ではそのまま仕事にいくのはどうかとも思うぞ」
「まぁな・・・」
眼を閉じるとすぐにクロノは眠りに落ちた。次の日の朝もいろいろで大変なことになるのは別のお話だ。
この作品は麻雀要素が強いので麻雀に知識がない人は回れ右でOKだと思います。
ある夜、クロノは溜まっていた仕事を終えて自宅に帰ってきた。時刻は深夜にも近い時間でエイミィは寝ている時間だと思いながら家に入るとそこには思わぬ客人がいた。
「あ、クロ助おかえり~」
「おかえり クロノ」
フェイトとエイミィは起きていてリビングの電気は付いていた。そして客人が数名・・・
「お疲れ様 クロノ君」
「お邪魔してるで」
なのはとはやてだった。4人は正方形のテーブルを囲んで座っていた。
「こんなに時間に何をしてるんだ?」
「夜会だよ 最近、クロノ君が帰ってこないってエイミィさんが寂しがってたからね」
「そうなのか? 悪いなエイミィ」
「あんたの仕事が忙しいのは分かってるんだから気にすんじゃないよ!」
エイミィはノリ良くクロノに絡んできた。エイミィの口からは酒のにおいがする。
「子供は寝かしたのか?」
「ヴィータちゃんが一緒に寝てくれてるから大丈夫よ~」
「ヴィータが? ということは・・・」
「私もいるぞ クロノ艦長」
「もちろん私もね♪」
台所から顔を出してきたのはシグナムとシャマルだった。随分と大人数でやっているようだ。
「とりあえず僕は着替えてくるよ みんなも楽しんでいてくれ」
「私らは元よりそのつもりやで~」
自室に戻るとクロノは脱力してベッドに倒れこんだ。
「ああ 眠い・・・」
ここ2、3日は仕事が溜まっていてろくに寝ていなかったのだ。エイミィを寂しがらせていたのは申し訳ないとは思うが自分の仕事の多さも苛まれない。起き上がったクロノは私服に着替えるとまたベッドに倒れこんだ。
「お兄ちゃん 起きて!」
その半時程後、クロノはフェイトに起こされていた。
「ん・・・ フェイトか 僕は寝たいのだが」
「お兄ちゃんが来てくれないと私、はやて達に罰ゲームされちゃう・・・」
「フェイト なんで僕をお兄ちゃんと呼ぶのだ?」
眠い目を擦りながらリビングに行くと夜会はまだ続いていた。
「クロノ君寝ちゃってたの? ダメだよ~夜はまだ長いんだから」
「せやせや 男なら付き合え~」
なのはとはやては相変わらず正方形のテーブルを囲んでいた。クロノはさっきは眠気から気づかなかったがそれは麻雀卓だった。
「君達は一体、何をしているんだ?」
「この世界の古代知能競技の一つで麻雀というものです」
シグナムが答えた。クロノははやての昔からの趣味みたいなものだから知ってはいる。何しろ時空管理局に麻雀を持ち込んでしばらくは上層部の間で入門書がベストセラーになったのははやての行いなのだから・・・ しかし、何故この家に麻雀卓があるのだろうか?
「旅人の窓を使ってこっちに移したんですよ 便利ですよね~」
発してもいない疑問にシャマルは答えた。魔法を無駄なところで使っているものだ。
「んで、僕に何をさせたいんだい?」
「一緒に麻雀をやらん?っていうお誘いや ルールは頭に入ってるやろ?」
「知らない事はないが僕とやってどうするんだ?」
「女の子同士でやってても退屈してたところなんよ 結構見飽きてるしな」
エイミィとなのはに強引に席に座らせられたクロノははやて、なのは、フェイトの3人と卓を囲む事になった。
「クロノ君は始めただからわからんやろうけど 私達はいつも何かしらの罰ゲーム付きでやってるんよ」
「今日は東風戦で最下位の人が一枚ずつ脱いでいくっていうルールでやってるんだよ」
はやてとなのはは悪戯っぽい笑みを浮かべてクロノにルールを告げた。その瞬間にクロノの顔は真っ青になった。
「冗談じゃない 僕は男でそれ相応の年齢だぞ そんなことできるわけ・・・」
「大丈夫だよクロノ 全裸になるまでやるわけじゃないから」
場の空気がおかしかった。何故、入ったときに気づけなかったのだろうとクロノは思った。
「シャマル~ 焼酎一本追加や!」
「私とフェイトちゃんにはウィスキーを もちろん原酒でね~」
「はいは~い 今、もって来るわよ~」
シャマルとシグナムは台所に入っていって酒瓶を数本出してきた。
「クロノ君は何を飲む? 酒は一杯買ってきてあるんよ」
「僕は水で大丈夫だ 酒を飲む気じゃ・・・「クロノ君には日本酒な~」・・・って人の話を聞け!」
こうしてクロノの横のサイドテーブルには日本酒の瓶が運ばれてきた。
「えっと・・・ コップはないのか?」
「大丈夫だよ こうやって飲めば洗い物増えないし・・・」
「なのは なんで君はウィスキーをそのままラッパ飲みしてるんだ!?」
「別にこれくらい大丈夫だよ? ねぇフェイトちゃん」
「うん まだまだ素面だし」
なのは達は顔色は普通だったが行動から見るにあきらかに酔っているようだ。フェイトが眠っているクロノをむりやり起こしたのも酔っていたからこそだろう。
「とりあえず 一局やろか? 始めるで~」
はやての一言で始まった東一局はなのはの親で始まった。
「私の親番だ~ ドラ全然無いわ~」
「なら私のところに集まってるようだね」
「私は刻子が一杯やわ」
他家は何故か自分の手を報告し合っている。本当とは限らないため鵜呑みにはできない。
「あっ聴牌だ。立直」
何順かした後フェイトが最初の立直をかけた。
「うわぁ フェイトちゃん立直かけるとかありえんわぁ」
「一発・・・自摸 1300」
はやてが手牌を倒すとそれは・・・
「なっ四暗刻!? 君はいつのまにそんなものを!」
「といってもまだ一向聴なんやけどね」
はやてがさっき呟いていたのはあながち嘘ではないらしい。
「私の親番流されちゃったよ」
「次は私が親番だね 負けないよ」
「頑張りや~ あっ次はワイン追加してな」
「わかりました~」
はやてはシャマルにワインを頼むと次の局を始めた。
「(いまいち手がのらないな・・・ さっぱり聴牌に近づけん)」
「(一向聴か もう少しなんだけどな~)」
「槓!」
5.6順した頃、はやてが突然槓の宣言をした。槓した牌を脇に寄せると嶺上牌を取った。
「自摸や 3900」
「・・・嶺上開花か? 随分とまた珍しい役だな」
「なんでか嶺上牌乗るんよね~」
「それはうらやましいな」
現在の状態では一位ははやてで以下、フェイト、クロノ、なのはの順になっているが別にたいした点差ではない。
「これで半分やね あと2局やで シャマル~ビールの大きい奴回して~」
「私もウィスキー無くなったから他のくださ~い」
「僕にもみ・・・「クロノ君はもっと強いお酒をご所望やで~」って人の話を捏造するな」
「今持ってくわよ~」
水分補給(?)を終わらした面々はまた麻雀に興じた。
この後の結果から言うとはやての一人勝ちであった。3局目をまた嶺上開花で和了ると4局目はクロノに直撃で2900をぶつけて東風戦は終了した。そして最下位はもちろんクロノであった。
「一回目やからそのTシャツでええよ~」
「早く脱いじゃいなyou~ 手がすっべっちゃうよ」
「クロノ・・・ 男らしくね」
「僕には女性の前で服を脱ぐ習慣があまりないのだが・・・」
「あら~ 私の前では脱いでたじゃないの 子供作るときだってそうじゃな~い」
「君は妻なんだからあたりまえだろう! 何を言い出すんだ」
「やっぱクロノ君はエロエロやね~ 真っ先に処女を脱出するなんて」
「僕の場合は処女ではなかったと思うのだが」
「ぶつくさうっさいわ~ 早くせんかい」
クロノはとりあえずTシャツの上を脱いだ。もちろん下に下着を着ている。
「じゃあ僕はそろそろ寝るよ もう疲れているんだ分かってくれ」
クロノが眠そうに腰を上げるとエイミィが電話をかけ終えたところだった。
「エイミィ 誰に電話をしていたんだ?」
「クロノが疲れているようだしお義母さんに有給取るって連絡したのよ 『夫婦の営みしたい(はぁと)』って言ったら二つ返事でOKくれたよっ?」
「そういう問題じゃない! ていうか夫婦の営みってなんてことを言ってるんだ!」
「子孫を残すためにも必要なのよ あなただってハラオウンの血筋が途絶えるのはいやでしょう?」
「だからそういう問題じゃないと言ってるだろうが・・・」
クロノはもう諦めの状態だ。エイミィは機嫌良さそうにラム酒を口にする。
「さっさと終わらせて寝たいな 早く始めよう」
「あら~ クロノくんが自らやりたがってようやね どう思います皆さん?」
「クロノったらどうしても脱ぎたいのかな?」
「やっぱり夫婦の営みのため?」
「誤解だ フェイト、なのは僕はそんな事するために始めるわけじゃないぞ!」
釈明を叫ぶクロノを残してまた次の局が始まった。
「・・・何というか暇だな 私達は」
「はやてちゃん達が楽しそうなんだからいいじゃない それよりこっちのハイボールもなかなかよ」
「頂こうか エイミィ殿はどうです?」
「私も頂くよっ やっぱ酒飲むなら夫が居て欲しいものね~」
「その旦那さんは完全におもちゃ扱いですけどね」
「いいじゃん楽しそうだし(なのは達が)」
クロノたちの後ろでは楽しそうに酌を交わす者もいた。
「(さて・・・ どうしようか)」
「今度は筒子ばっかやな~」
「私は白が一杯だよ!」
「順子が多いかな・・・」
はやて達は相変わらず自分の手を明かしている。クロノはこれを利用しようとした。
「えっと 僕は索子が多いのかな(嘘)」
「クロノくんは索子かぁ~ ええなぁ」
はやての顔が一瞬曇ったかと思うとまた普通に戻った。なのはとフェイトは気づいていないようだ。
「・・・クロノ それロン 3900」
「なっ・・・」
フェイトは萬子と字牌の混一色でクロノをひっかけた。
「クロノを引っ掛けるつもりで作ったんだ」
「索子が多いって言ったのは特に気にしていなかったのか?」
「酔ってないクロノが容易く私達に手を明かしたりはしないでしょ?」
「あ 私もそれ思ったわ~」
「私も思ってたんだけどね~」
3人はクロノが発言した時点で怪しいと疑ってかかっていたようだ。クロノにははやてしか気にならなかったがなのはやフェイトも同じ事を考えていたのだろう。
「自摸 嶺上開花2300の責任払いや」
どこぞの県予選みたいなルールでクロノに2300のダメージだ。クロノの捨牌で槓したことによる大明槓責任払いのルールだ。役満直撃でなかっただけ感謝であろう。
「(はやての得意技が嶺上開花だということは有効なのは・・・)」
「ポン!」
そんなことを言っている間にはやてがポンをした。翻牌でもない牌だ。
「(確実にはやては加槓をする ならその前に待ちを変えることができれば・・・)」
幸いにもはやてがポンした牌を待ちとする聴牌を完成することができた。
「槓!」
はやてが威勢のいい声をあげて自摸った牌を槓し嶺上牌を取ろうとしたときに対面から声がした。
「ロンだ 槍槓ドラ3 12000だ」
「槍槓!? 図ったなクロノくん」
「偶然に頼ったがこれで僕のトップだな」
「嶺上開花に持ち込むことを見越して槍槓って!」
はやて達は驚愕したようにクロノを見た。点棒を受け取ったクロは次の局を促した。
「(流れがこっちに来たのか牌のまわりがいいな 高目を狙わないと・・・)」
「(このままじゃ私がビリやね・・・ 別に脱ぐのはいいけど(クロノが妻子持ちだから)負けっぱなしはややな)」
「(せっかくクロノが脱いでくれるチャンスなのにもったいない 頑張ってクロノを落とさなきゃ)」
「(はやてが脱ぐのはやっぱだめだよね・・・ なんとかしないと)」
女三人が改めてクロノへの対抗心を燃やすのを尻目にクロノは聴牌した。
「ふぅ・・・ 立直だ」
「おっ クロノくん初リーチやね~」
「でも ・・・それロンだよ」
クロノの顔から生気が消えた。なのはの声が地を這う怪物のように聞こえたからだ。
「クロノ君が一位になったらはやてが脱ぐ事になっちゃうよね? そんなこと許せるのかな?」
「うっ・・・ でもこれは勝負なんだぞ 僕だって脱ぐのはいやだ」
「そうやって女の子を脱がせてもいいのかな?」
なのはに白き悪魔が降臨した時、標的が生き残れる場合は皆無だ。
「な・・・のは・・・?」
「・・・クロノ君 私が倒すからね(笑顔)」
「今はその笑顔が一番怖い!」
「なのは その辺にしときや」
「ふにゃっ あれ?私・・・なんで?」
なのはは酔っているから特に自分が何をしていたか覚えていないようだ。
「正気になってくれて助かった・・・」
「別に私は脱いでもかまわんよ どうせまだ下着程度やし でもクロノくんに負けるわけないやろ」
「えっ なんのこと?」
「忘れてるんなら思い出す必要はないさ」
「思い出さなくていいよ なのは」
なのはは顔に疑問マークをたくさん浮かべながらまた麻雀に戻った。
「あっクロノ君のそれロンだ!」
「それは本当なのか!?」
「えっと立直一発ドラ4かな? 12000点なの」
「えっと・・・ これはつまり ・・・クロノ?」
「クロノくんの最下位やね いやぁ最後の最後でひっくり返ったなぁ~」
「また僕の負けなのか・・・」
なのはに12000点をもぎ取られたクロノは最下位となった。
「男の裸なんて見て何が楽しいのだか・・・」
「別にええやん 昔からの付き合いなんやし」
クロノは上の下着を脱ぐと上裸になった。格段に恥かしいことではないがクロノの顔には紅みがさしている。
「にしてもあなたも少したるんだんじゃないのかい?」
「うっうるさいな! これでも鍛錬を欠かしているわけではないんだぞ」
「二十の後半でもうおじさん腹かぁ?クロノくん」
エイミィやはやてがからかう程クロノの体がたるんでいるわけではないしむしろしまっている方だ。しかし、女性ばかりの空間に上裸の男がいるというのはなんとも怪しい光景だ。そんなところにシグナムがはやてのところにやってくる。
「主はやて クロノ提督にそのような格好はさすがに・・・」
「ん~ どうした?シグナム」
「ですから・・・ 酔いの勢いでも超えてはいけない線がありますよ。」
「・・・せやねぇ まぁ私たちもクロノくん脱がすのが目的やないしの~」
はやては思いの外素直にシグナムに応じた。クロノの顔が少し生気を戻した。
「じゃあ僕は服を着てもいいのか?」
「チョイ待ちや 折角何やし写真撮ろ~」
「・・・まぁ 写真ぐらいなら」
「カメラならあるよっ 早く撮ろうか!」
一同は記念写真を撮り終えるとクロノは服を着て、他のものはさらに呑むのを続けた。クロノはベランダで涼んでいるシグナムを見つけるとそっと近寄った。
「シグナム・・・」
「っ! クロノ提督? 何か用ですか」
「いや・・・ さっきはありがとうな 止めに入ってくれて」
「別に貴方に礼を頂くほどのことではないです。主の暴走を止めるのも私達の仕事の一部だ それに・・・」
「うん?」
「その・・・ 遊ばれている貴方はなんだか格好悪くて・・・」
シグナムはそれを言うとそっぽを向いてしまった。内面では恥かしがりなのかもしれない。
「とりあえず・・・ ありがとう」
クロノはそれだけ言うとまたリビングへ戻っていった。
「クロノさん いままでどこに?」
「シャマルか まぁ夜涼みって奴だ」
「ふふ 見てください みなさん寝ちゃってます」
シャマルが微笑んでいる方を見るとはやて達がソファで寝ているのが見えた。
「呑みまくってたからな このままじゃ風邪ひくし毛布でも出してくるか」
「クロノさんはいい旦那さんですね♪」
「からかわないでくれ」
クロノとシャマルが寝室に入るとザフィーラが起きていた。
「シャマルにハラオウンか・・・」
「ザフィーラも来ていたのか」
「随分とにぎやかにやってたみたいだな」
「まぁな・・・」
ザフィーラも手伝って毛布を女性陣にかけるとシグナムもベランダから戻ってきた。
「はやて達は寝てしまったのか?」
「そのようだな」
「さて、私たちはどうしようか・・・」
「客用の布団があるからそこで寝るといい 子供たちの横ではだめか?」
「ではお言葉に甘えましょうか シグナム」
「うむ そうさせてもらおう」
シャマルとシグナムが寝室に入ってくのを見届けたクロノは台所で酒瓶などの片づけや明日の準備をした。
「結局どんだけ買ってきているのだか・・・」
「ハラオウン 俺も手伝おう」
クロノが振り返ると人間体のザフィーラがいた。
「ザフィーラ 済まないな」
「こちらこそ 主たちが迷惑をかけた」
朝食の下ごしらえや酒瓶をまとめたりしながらクロノはザフィーラは夜のことを話した。このところザフィーラはクロノのよき理解者であってくれる。どちらも苦労しているのである。
結局クロノとザフィーラが寝床に入れたのは深夜というよりは明け方に近いような時間であった。
「今日は休みなのか・・・ エイミィめ余計なことを」
「お前のその状態ではそのまま仕事にいくのはどうかとも思うぞ」
「まぁな・・・」
眼を閉じるとすぐにクロノは眠りに落ちた。次の日の朝もいろいろで大変なことになるのは別のお話だ。
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